▶建築物を建てる時に、制限がかかってくることは分かったけれど、厳密に建築物ってなんのことを指すんだろう?住宅?ビル?工場?
目次
1 建築物の定義
建築基準法の第二条において用語の意義を、各号に定めています。
第二条一号で建築物について、このように定義しています。
メモ
一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵
槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
法律って、本当に読み取るのが難しいですよね。
これらの建築物に該当すると、規模や構造、工事の種類などによって確認申請が必要となるので、何が建築物に該当するのかは、おおまかにでも判断できるようになってくると便利です。
2 要するに建築物とは?
先程、建築基準法における建築物の定義を書きましたが、結局のところどのようなものが建築物なの?と思いますよね。建築物として扱うのは、主に5つあります。
① 一般的に言われる建築物
結論から言うと
基本的には
屋根+柱もしくは壁があるもの
です。
厳密には、土地に定着しており、屋根+柱もしくは壁を有するものですが、屋根だけ宙に浮いていることは考えられないので、屋根があれば、柱もしくは壁があると考えられます。
つまり
屋根があるもの
を建築物として考えてもらって良いです。
逆に言うと、壁と柱だけがあっても屋根がなければ建築物ではないということです。
住宅・事務所・店舗・病院・学校など、私達が普段一般的に利用している建物のほとんどは建築物です。
後でお話しますが、思わぬものが建築物に該当していることもあるので、注意が必要です。
➁ ①に付属する門又は塀
これについては、
同一敷地内に①に該当する建築物があり、その建築物の門や塀が存在する場合は、これらの門や塀についても建築物という扱いになります。
逆に言えば、同一敷地内に、①に該当する建築物がなく、更地に門や塀のみがある場合には、その門や塀は建築物にはなりません。
➂ 観覧のための工作物
野球場や競技場のスタンドなどで、階段状の客室などがあれば、屋根の有無に関わらず、建築物となります。
④ 地下又は高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫など
これは、いわゆる
・地下街
・高架下の店舗など
です。
ちなみに本体の地下・高架工作物自体は、一般には建築物に該当しません。
➄ ①~④に設けられる建築設備
建築物に設けられる昇降機や配管設備なども建築基準法上は建築物に該当します。
3 判断が難しい例
建築物の定義や該当するものについて、お話してきましたが、実際に判断が難しいものもあります。建築物に該当するかどうかについては、行政が判断しますので、相談してみるとよいでしょう。ここでは、実際に判断が難しい事例として、挙げられているものを記載します。参考程度に読んでいただければと思います。
- テント → 一時的な使用の目的で設置するものではない場合などは、建築物になります。近年では建築物に該当するグランピング施設などもみられます。
- 農業用温室 → いわゆる「ビニルハウス」は多くの場合建築物に該当しませんが、材質などが変わると建築物になる場合があります。
- トレーラーハウス → すぐに公道を走れないものは、土地に定着しているとみなされ、建築物として取扱われます。
- コンテナ → 中に物などが入れば、ほとんどの場合、建築物になります。
- 立体自動車車庫(他の建築物から独立したもの) → 一定の高さを超えるものは建築物になります。
- キュービクル → 風力発電設備、太陽光発電設備に附属するキュービクル式高圧受電設備は、多くの場合建築物とみなされませんが、内部に人が立ち入って作業するものは建築物になる場合があります。建築物になる場合の取扱いについては、リンク先の「風力発電設備を設置する場合に開発許可は必要か。」、「太陽光発電設備を設置する場合に開発許可は必要か。」をご覧ください。
- 倉庫、物置 → 一定の規模以内の倉庫で、外部から荷物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについては、建築物に該当しないものとされていますが、それ以外は建築物として取扱われます。床面積が10平方メートル以内でも建築物です。
- カーポート → 屋根があれば建築物です。壁がなくても建築物です。
- 仮設トイレ → すぐに移動できないものは建築物になります。
●犬小屋 → ほとんどの犬小屋は人が手で持ち運べるものですので、建築物とは思えませんが、あまりにも大きくなるとどうなるかわかりません。