購入価格を検討するために目安になるための参考価格などがあればその調べ方を教えて欲しいです。
✓ 本記事の内容
・土地を購入する時に事前に目安価格を決めておくことが重要 ・良く耳にする一物四価が分かる ・目的に応じた土地価格の算出方法が分かる ・実際に目安とする土地の価格の算出方法が分かる
2020年に250万円を元手に物販で副業開始。資産を500万円に増やすことに成功。
今後は、物販業以外の稼ぐ力を身につけるため、お金・簿記・建築の知識を活かし、不動産投資へ挑戦中。
本記事では、土地の売買の際に役に立つ、土地の価格の種類や売買の目安となる実勢価格の調べ方について具体的に解説していきます。
日常的に買い物をするような馴染みのものであれば、ある程度の相場感を掴むことができますが、土地は場所や立地によってかなり価格が変わるので、事前にある程度土地の価格を評価できないと損をしてしまうことがあります。
この記事を読めば、土地の購入だけでなく売却のときにも、自分で土地の目安金額が推測でき、有利になることは間違いないですよ。
5分程度で読めるので、築古戸建ての不動産投資で成功したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1 実勢価格、その意味と活用方法は?
1-1 実勢価格とは
インターネットで土地の購入について調べているとよく目にするのが「実勢価格」です。
土地の実勢価格とは
土地の売買が成立した時の価格を意味します。
ややこしいのが、
実勢価格≠販売価格(売りに出されている価格)
なのです。
ここで問題
元々3,000万円で売りに出されている土地があるとします。
売り急いでいたのか、値下げされ2,800万円になりました。
2,600万円の指値で交渉したところ、応じてもらい、最終的に2,600万円で売買契約が成立しました。
この場合、実勢価格はいくらでしょうか?
正解は、2,600万円です。
実勢価格は実際に取引が成立した価格になります。
後程、具体的な調べ方を解説しますが、ネットで検索することができます。
1-2 実勢価格の活用方法
では、実勢価格が何かは分かったけれど、どんな時に活用するのでしょうか?
それは、主に
土地の売買時に、ある程度の目安を知りたい時
に活用します。
具体的には「国土交通省の取引価格情報」を使って
- 実施に購入を検討している過去の実勢価格を調べる
- 周辺の実勢価格を調べる
などで目安を知ることができます。
しかし、次のような注意点も必要です。
- 過去の実勢価格から年数が経過している場合、市況が大きく変化している可能性がある。
- 実勢価格はあらゆる事情で決まっているため、極端に相場などからかけ離れている可能性がある。
実勢価格は実際の取引データなので、非常に良い指標ではあるのですが、不確実性が強い指標でもあるので、あくまでも参考程度で、その他の多くの指標を集めて確認する作業も加えることが必要です。
2 土地購入のときに事前に目安となる価格を知る方法と重要性
2-1 目安価格を知る方法
目安価格は
- 当該地の過去の実勢価格と周辺の実勢価格から推測する
- 他の土地価格の指標から推測する
これらの方法で推測することができます。
後程解説していきますので、これらの方法である程度の目安を出すことができるということを念頭に入れておきましょう。
2-2 目安価格を事前に決めておく重要性
目安価格を出しておきましょうとお話してきましたが、事前に目安価格を知っておくと何が良いのでしょうか?
次の3つの観点からあらかじめ目安の価格を知っておくことはとても重要です。
順番に見ていきましょう。
① 不当な価格で購入することがなくなる
騙される
というのは、なぜ起こるのかというと
「価格の基準が分からない」
これが原因です。
これは、何にでも当てはまります。
例えば、ノートパソコンを購入したいと思ったときに、ブランドにも寄りますが、
200万円と言われたら高いと思いますよね。
それはノートパソコンの相場が大体わかっているからなのです。
しかし、ノートパソコンの値段を調べたことのない人が、敏腕営業マンに200万円のパソコンをおすすめされたら購入してしまうかもしれません。
今はパソコンの例なのでなかなかイメージがわきづらかったかもしれませんが、土地についても、大体の相場が分かっていなかったら、提示された価格を鵜呑みにして購入してしまう気がしませんか?
そのような時にも目安の価格を知っていれば、不当に上乗せさせられて高値をつかまされるということはなくなります。
② 予算を決めることができる
たまごを例に出します。
たまごLサイズ10個入りは、周辺のスーパーでセールの時や価格が高騰しているときのことを考えても大体180円から240円ぐらいで購入できます。
大体平均をとって210円ぐらいが目安かなと思っています。
人によって予算は異なりますが、私は210円以内ならたまごを購入するという予算を基準に、購入するかしないかを決めています。
このように土地も予算を決めるためには、ある程度目安がないと決めることができません。
③ 銀行融資の土地値を推定できる
土地を購入する際に、自己資金を使わずに融資を利用したいと考える方も多いと思います。
当然、金融機関も融資をおろすかどうかは、土地の価格を査定して限度額を決定します。
これは、実際に契約した実勢価格では判断しません。
なぜなら、融資をおろすということは、土地を担保に入れるということ、すなわち、債務者が返済不能になった場合は、銀行が土地を売却して回収します。
販売価格がその土地のもつポテンシャルの価格よりも小さければ売却しても負債を回収できませんよね。
土地の目安価格を知ることができれば、土地自体がもつポテンシャルの価格を知ることができ、金融機関がこれぐらいでこの土地を評価してくれそうという見積もりがたちます。
融資がおりるかどうかもなんとなくわかるようになりますよね。
3 実勢価格と合わせて覚える一物四価
一物四価とは
1つの土地に、4つの違った価格があることを、一物四価といいます。
地価を評価する場合に、時価(実勢価格)、公示地価(公示価格)、相続税評価額(路線価)、固定資産税評価額の4つの価格があることを表しています。
3-1 実勢価格
この記事の初めに解説したとおり、実勢価格は、実際に取引される際の価格で、売買する当事者間で合意した価格を指します。
土地は同じ地域、同じ面積であっても、その形状や方角、接道状況などひとつひとつ条件が異なります。
実勢価格は、こうした土地の固有条件や、売買当事者の事情(売り急ぎ、買い進み、縁故など)も加わって決定されます。
なお、一般的によく耳にする時価とは、通常の取引状態の場合に成立する価格(固有の条件など加味されない価格)を指すので、実勢価格とは若干異なりますのでご注意ください。
3-2 公示地価と基準地価
「公示地価」とは、一般の土地取引の指標や公共事業用地を取得する際などに基準となる価格で、毎年3月下旬に国土交通省から公表されます。
具体的には、その年の1月1日における全国の標準地(2020年は計2万6000地点、うち7地点は調査休止)の1㎡当りの価格で、建物がある場合は建物がない更地として評価されます。
また、「公示地価」に類似したものとして「基準地価」があります。
こちらは、毎年7月1日における全国の基準値2万2000地点の価格で、9月下旬に公表されます。
調査主体は都道府県で、標準地が都市計画区域内中心であるのに対し、基準地は都市計画区域外や林地も対象(一部標準地と重なる地点もある)なので、「公示地価」の補完的役割も果たしています。
これらは、土地の売買の際に目安になる指標となります。
また、公示地価も基準地価も同じようなものですが、公表時期に差があることから、
2つの地価を比較することで土地価格の動向を知ることが出来ます。
3-3 相続税評価額(相続税路線価)
土地の相続税や贈与税の算定基準となる価格で、毎年1月1日における価格が、7月初旬に国税庁から公表されます。
評価額は、相続税路線価(道路に面する標準的な宅地の1㎡当りの価格)を土地の形状に応じた補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて算出され、「公示地価」の80%が目安となっています。
なお、地方では相続税路線価が定められていない地域もあり、その場合には、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる倍率方式によって評価額を算出します。
3-4 固定資産税評価額
土地の所有者に課される固定資産税や都市計画税のほか、不動産取得税や登録免許税の算定基準となる価格です。
各市町村(東京23区内は東京都)によって決定され、「公示地価」の70%が目安になります。
基準日は毎年1月1日ですが、評価額の見直しは3年毎となっており、次回は2021年になります。
【一物四価のまとめ】
4 一物四価の関係性から、目安となる価格を算出する方法!
ここまでは一物四価についてお話してきました。
ここからは、それぞれの土地の価格の調べ方と、それらの関係性から目安となる価格を算出する方法についてご紹介します。
4-1 方法①過去の実勢価格から推測する
目安となる価格を算出するための方法1つ目は
過去の実勢価格を調べること
です。
過去に売買された土地の実勢価格を調べる方法は、国土交通省が公開している「土地総合情報システム」を使って検索する方法です。
具体的に手順を追ってみていきましょう。
① 国土交通省の「土地総合情報システム」にアクセスする。
不動産取引価格情報検索をクリックする。
➁ このような画面に移るので左の方にある手順を順番に埋めていきましょう。
1. 時期を選ぶ | 初期状態では、最新の取引時期が表示されています。
古い取引情報を知りたい場合は、該当の時期をプルダウンで選びましょう。 |
2. 種類を選ぶ | 初期状態で「土地」が選択されているため、地価を調べたいのでこのまま検索を掛けていきます。
※「土地と建物」を選択すれば、家付き土地の価格を調べられます。 |
3. 地域を選ぶ | 表示させたい地域を表示するには、3つの方法があります。
①住所から探す(左下のメニューから選択) ②路線・駅名から探す(左下のメニューから選択) ③都道府県をクリックして探す(右半分の画像をクリックから選択) |
➂ 地図から都道府県を選択すると次のような詳細地図が出てきます。
今は埼玉県にある大宮駅周辺の地図を表示しています。
左上の表示地域は詳細に設定しています。
青い四角(■):不動産取引価格情報
黄色の丸(●):地価公示価格
大宮駅周辺の不動産取引価格情報を見たい場合は、地図上に表示された青い四角(■)の上にマウスポインタを当ててクリックします。
このような表示が出てくるので大宮駅周辺には、令和2年1月~令和2年12月までの取引価格が63件あることがわかります。
詳細表示をクリックします。
④ 不動産取引価格情報をチェックする
このような形で、63件分の取引情報を見ることができます。
駅からの最寄り駅からの距離や土地面積、形状、利用目的、前面道路の状況などさまざまな情報が表示されます。
例えば、今回調べた大宮駅周辺の徒歩15分以内の住宅では
3,000万円~5,000万円で取引されている事例が多いようです。
不動産取引価格情報は物件が特定されないように加工されていますが、この中から、今回自分が調べている土地の条件に近いものを探してみましょう。
最寄り駅までの距離や面積、形状、幅員の広さなどを参考にします。
あくまで過去に取引があった土地のデータです。
実際に取引する土地の個別要因や事情によって価格が変動することがあることに留意してください。
そういった注意点があるにせよ、実際に取引された価格がわかるのはかなり参考になりますので、ぜひ土地の購入を検討する際には確認しましょう。
4-2 方法➁公示地価・基準地価から算出する
目安となる価格を算出するための方法2つ目は
公示地価・基準地価から算出すること
です。
ポイント
目安となる価格=公示地価(基準地価)×面積×1.1
の計算を使って算出する方法です。
① 国土交通省ホームページの「標準地・基準地検索システム」にアクセスして、調べたいエリアを選択します。
再び、埼玉県の大宮区で絞り込んでいきます。
地域を絞り込んだ後、検索条件指定画面で「地価公示・都道府県地価調査の両方」を対象にしたまま「検索」をクリックすると、公示地価と基準地価の両方を見ることができます。
➁ 検索結果から公示地価・基準地価を確認する
表示された検索結果画面から、「価格」欄をチェックします。
「価格」欄に表示されているのが、周辺エリアの1㎡あたりの公示地価または基準地価です。
➂ 公示地価から目安となる価格を算出する。
ポイント
目安となる価格=公示地価×面積×1.1
ただし、この計算式で求めた目安価格は、あくまで参考価格です。
同じ番地の公示価格があったとしても、土地の現況や接している道路、形状、日当たり、不動産市場の情勢、買い手の緊急度など、多くの要因によって価格は大きく変動します。
他の地価と同じくあくまで参考値として理解しましょう。
4-3 方法➂相続税路線価から算出する
目安となる価格を算出するための方法3つ目は
相続税路線価から算出すること
です。
ポイント
目安となる価格=相続税路線価×面積÷0.8×1.1
の計算を使って算出する方法です。
具体的に手順を追ってみていきましょう。
この計算式でいうと、
まず相続税路線価を調べる必要があるということが分かります。
本来相続税路線価とは相続税や譲渡税などを決める際に使うものですが、相続税路線価を用いることで、目安となる価格を算出することができます。
それを踏まえた上で具体的な手順をおってみましょう。
① 国税庁の「路線価図・評価倍率表」から検索をする。
出典:国税庁「路線価図・評価倍率表」
国税庁「路線価図・評価倍率表」にアクセスし、自分の調べたい土地がある都道府県をクリックします。
「路線価図」をクリックします。
調べたい土地の「住所」をクリックしていきます。
「町丁目」までクリックします。
すると、このような路線価の書かれた地図がでてきます。
➁ 路線価図から調べたい土地の当該地を探し、路線価を調べます。
この土地の接道は南側でとっています。その路線(道路)を見ると
「580C」
と書かれています。
これは「580」と「C」に分けられるのですが、「C」については借地権の割合を示しているのでここでは気にしなくて大丈夫です。
「580」ですが、千円単位となり、敷地1㎡あたりの価格になります。
「580」=580,000/㎡
という意味になります。
※ 今は単純に路線価を掛け算しただけですが、実際に奥まった敷地であったり、多方向道路に接道している場合には、補正率をかけて路線価を算出しますのでご注意ください。
➂ 路線価(相続税路線価)から目安となる価額を算出する。
➁で路線価の見方が分かったので、これを元に目安となる価額を算出します。
ポイント
目安となる価格=路線価×敷地面積÷0.8×1.1
この式の意味は、公示地価・基準地価のところで述べたように、
目安となる価格=公示地価・基準地価 × 1.1
ぐらいとなります。
そして大体、
路線価評価額=路線価×敷地面積=公示地価・基準地価 × 0.8
なので、目安となる価格は上記のような計算式となります。
例えば、
調べたい土地の面積が80㎡で路線価が先程の路線価図より580,000円であれば
目安となる価格は
580,000円×80㎡÷0.8×1.1
=約 3,375万円
となります。
4-4 方法④固定資産税評価額から算出する
目安となる価格を算出するための方法4つ目は
固定資産税評価額から算出すること
です。
ポイント
目安となる価格=固定資産税評価額÷0.7×1.1
の計算を使って算出する方法です。
具体的に手順を追ってみていきましょう。この計算式でいうと、
まず固定資産評価額というものが必要になることが分かります。
それを踏まえた上で具体的な手順をおってみましょう。
① 固定資産税の納税通知書を用意しましょう。
出典:千葉県袖ケ浦市ホームページ
固定資産税は、固定資産の所有者に課税される地方税です。
土地や家屋を所有している人には納税義務があり、税額は市区町村が算出して納税者に通知します。
固定資産税だけでなく、都市計画税が課税される場合はあわせて通知されます。
1月1日時点の固有資産の所有者に対して、毎年4~6月頃に納付通知書が届きます。
ご自分の土地を売却したい場合には、自分の納税通知書を用意すればよいですが、土地の購入を考えている場合には、売り出している不動産業者に納税通知書の開示が可能であるか確認してみましょう。
➁ 課税明細書の「評価額」の金額を確認する。
出典:新座市ホームページ
①の通知書は複数ページで綴られて送付されてきます。
この通知書は、税額を通知するものですが、税額を算出するために、固定資産税評価額(固定資産税を計算する際の土地評価額)が分かります。
そちらが記載してあるページは自治体によっても記載が異なるのですが、一般的には「課税明細書」と書かれたページに書かれていることが多いです。
また表記の方法も異なりますが、「評価額」と書かれた欄に「固定資産税評価額」が記載されています。
出典:吉野ヶ里ホームページ
出典:堺市ホームページ
固定資産税評価額とは
固定資産税 課税明細書に記載される【評価額】の価格
➂ 固定資産税評価額から目安の価格を算出する。
ポイント
目安となる価格=固定資産税評価額÷0.7×1.1
この式の意味は、公示地価・基準地価のところで述べたように、
目安となる価格=公示地価・基準地価 × 1.1
ぐらいとなります。
そして大体、
固定資産税評価額=公示地価・基準地価 × 0.7
なので、目安となる価格は上記のような計算式となります。
5 まとめ
今回の記事では、目安となる価格を算出するための方法をご紹介しました。
一物四価と言われる土地の価格の算出方法の相関関係は下図のとおりです。
また過去の取引事例を調べることでその地域の実勢価格を調べることができます。
これらはあくまでも条件等によって異なるので、参考として、自分が土地値がいくらぐらいが妥当なのかの目安にしましょう。
シュミレーションを行うことで、不動産投資で不当な金額で業者の言われるがままに契約するということがなくなります。
ぜひ、あらゆる方法でシュミレーションし、その上で今回購入を検討している土地が妥当な取引価格であるかを自分で調査しましょう。
最初のうちは大変ですが慣れてくると、簡単に出すことができます。
一緒に不動産投資を成功させましょう!
今回は以上です。